天職とはなんでしょう
「天職」のお話しに触れてみたいと思います。
天職と言いますと一般的には、「自分にピッタリ合った好きな業種や職種」をイメージしがちで、私も若い頃は「自分の天職って一体何なんだろう?」と悩んだものです。
しかし、本当は全く別の、違った意味があったことに気付かされたお話しです。
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昔から経営に秀でた偉人の人達のお話などを見聞きしますと、一様に、
「店は自分が金儲けをするためにあるのではなくて、お客様のお役に立つために存在するのです。」
「先ずは、お客様に喜んでいただく働きをしなさい。喜んでいただけた結果として、後から売上げや利益がついてくるのです。」と仰っておられます。
しかし、私は自分のためや家族を養うために、毎日を必死になって働いていましたし、またそれが当たり前の考えだとも思っていました。
そして頑張って稼ごうと・・・。
このような偉人のお話に触れても、若い私には難し過ぎて、「キレイごとと違うの?!」という思いしか残っていませんでした。
でも、毎日を営業に明け暮れ、お蔭でスタッフも少しずつ増えて来ました。
ある時、そのうちの一人の女性がニコニコしながら事務所にやってきて、うれしそうに報告されました。
「この間、うちの庭にバレーボールが入っていて、丁度、そのボールに名前が書いてあったので、『あそこの子どもさんが誤って投げ込んでしまったのだな。』と思い、すぐに届けてあげました。ところが昨日、私がご近所に営業に回っていましたらそこの奥様が待っていたのよって仰って、初めて商品を契約していただけて・・・、それもスゴク沢山なのですよ!」とのことでした。
そのようなことぐらいの親切は、日常の中でいくらでもあるささやかなことだと思ったのですが、そのことをとてもうれしそうに話されるのを聞いていて、ふぅっと「先ずは、お客様に喜んでいただく働きをしなさい。喜んでいただけた結果として、後から売上げや利益がついてくるのですよ。」との偉人の話が頭をよぎりました。
偉人が仰った意味とはかなり違うかも知れませんが、でも順序としては間違っていません。
「言ってみれば、こういうことなのか・・・!」
そのスタッフは、庭に落ちているバレーボールを見て、「儲かった!これで売り上げが上がる!」とは、決して思わなかったハズです(笑)。
単純に、困っておられるだろうとの親切心でお届けしたハズですので、余程うれしかったのでしょうね。
そのことを、うちのスタッフミーティングで皆さんに報告しました。
みんなから大きな拍手をもらい、そして、顔を赤らめながらその人が話し始めました。
「今まで私は、町内の活動には無関心でした。でも今回のこのことがあって、もっと人様に喜んでいただける活動をしたいと思うようになりました。もちろん、それが今回の様にビジネスに結びつくとは思えませんし、またそれを目的にしたくもありません。ただ、もっと地域の人と仲良くなってお友達を増やしたいのです。」と。
その彼女はきっと心の中で、ビリビリッと何かを感じるものがあったのだろうと思います。
その後自治会のいろいろな役員もされるようになったとのことで、忙しく飛び回られる様になりました。
でも、目に見えて売り上げもドンドン上がっていったのはいうまでもありません。
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自分のファンのお客様
このような事例があってからというものは、その後も気を付けて観察していると、内容は種々ありましたが、私も含めて店全体でこの営業姿勢を実行している間に、本当に「後から利益は付いてくる」という、その通りになる体験をなんども経験してきたのです。
この間のプロセスはまたの機会にお話しするとして、そのような幾たびもの体験から、この仕事に就くまで何度も転職を繰り返してきた私にとっては、
「今の仕事は、自分の性格にピッタリあっているんだ!これが俺の天職か?」と思えるようになりました。
お客様から「ありがとう!」と言われて感謝されながらお金を頂くという、それは何度経験しても、自分や家族のために働いている私にとっては、なんとも不思議な感覚でした。
そんなことを繰り返していると、どうも、<自分や家族のためにがむしゃらに働く>というのとは少し違い、何となくシックリと来なくなりました。
そうこうしていると、ビジネスを教えていただいた別の言葉に触れる機会がありました。
「儲けよう、儲けようと思っても儲かるものではありません。儲かるという文字を見てご覧なさい。「信」「者」と書くでしょう。そう、「信者」つまりはファンです。あなたのファンが儲けさせて下さるのです。人様に喜んでいただける働きをして、そのお蔭でファンが出来て、その人たちが結果として利益をもたらして下さるのです。」と。
この言葉に出会って、私がシックリと来なかった理由にハッ!と気が付きました。
今までは、<自分のため><家族のため>に懸命に頑張っては来たけれど、
<お客様のため>という考えは、全然思いもしませんでした。
儲けさせて下さっているのは、<自分のファンのお客様>なのだ!!
そうか!業種や職種の仕事内容そのものが天職かどうかということではなくて、「先ず第一に、お客様や人様に喜んでいただこうとする思いを<働く目的>にする考え方」がとても重要なことであり、その思いで仕事をする時に初めて「天職」につながるのだ、ということに気付かされたのです。
言い方を変えると、このような目的をもって仕事をする時には、「何業でも自分の天職にできる」ということなのでしょう。
職業を選ぶとき、自分に合ったやりがいを感じられる業種や職種の選択も大切ではありますが、どの仕事も、この天職の意義を現すための手段ではないのだろうかと感じました。
どのような仕事も、「まず第一に、お客様に喜んでいただこう」と願う働き方!
そして更に、この「天職」の考え方は、「自分の存在感」を確認することができる大いなる喜びに繋がります。
人間の幸福感というのは、人との関わりの中で、自分がそこに存在していることを認めてもらえることではないかと思います。
まさに、お仕事をさせていただき収入を頂いたその上に、
一度しかない、かけがえのない自分の人生において、
自分が人様のお役に立って生きているという、
紛れもない自分の存在を確認できる「ワクワクするような喜びの実感」です。
自分の生き甲斐や張り合いにつながる、仕事のしかたです。
「天職」って、なんてぜいたくな考え方なのでしょう。
どの様な仕事であっても天職に出来る「仕事の真髄」に気付かせていただけたことは、その後の私の大切な財産となりました。
あなたの働きでお客様が感動される姿を見ることが出来れば、悩みの多い今のあなたのお仕事も、きっとご自分の天職にできるのではないでしょうか。
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