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毎日の生活の中で「心の栄養」が足りないと感じたとき、「仕えることの素晴らしさ」を教えて下さったお話しを思い出します。

近頃では、「仕える」という言葉そのものも死語に近くなったようで、あまり耳にしなくなりましたが、
随分以前に、高名なご住職の講話をお聞きする機会がありました。

『<しあわせ>という文字を書くとき、皆さんはどの様な漢字を使っておられますか?
普通、ほとんどの人は、幸福の幸の一字を取って<幸せ>と書いていますよね。でもこれは当て字のようなもので、本来は<仕合わせ>と書くのですよ。』と教えられたことがありました。
私も初めて聞く内容でした。

『つまり、「仕え合う」と書いてしあわせと読ませています。「仕合わせになる」ということは、お互いがお互いに仕え合う状況を意味しています。
ですから、仕合わせになるためには、仕える相手が必要ということで、一人では仕合わせにはなれないということなのです。これが仕合わせになるための条件なのです。』

『皆さんが、今まで「仕合わせだな!」と感じた時を思い出して下さい。

好きな人からプロポーズされたときですか?
なかなか自分とウマが合わなくて悩んでいたお姑さんが、何かの折りにあなたを本当の娘のように受け入れてくれたときですか?
熱を出しているとき、子どもが側に来て「お母さん、大丈夫?」ってやさしく声をかけてくれたときですか?
失意のどん底にいるときに、励ましてくれた友人の言葉ですか?

仕合わせだと感じたときを思い返してみて下さい。必ずそこには誰かがいた。

よく宝くじが当たったり、良い学校に入学できたり、願っていた会社に就職できたりしたときにも「自分はしあわせだぁ~!」と言ったりしますが、本当は使い方が違うのです。「うれしい~!」とか「ラッキー!(幸運)」とかが本当ですね。

また、美味しいもの食べ歩きのような番組では、口に入れたとたん、満面の笑みを浮かべて「う~ん、しあわせ~!!」って言っていますよね。これもやっぱり、「こんなに美味しいものを食べられてうれしい~!」ではないでしょうか。「仕合わせ」とはちょっと違った感覚ではないかと思います。

本当の仕合わせを感じられるときには、相手となる人が存在しているということを、しっかり覚えておいて下さい。』というお話しでした。

仕合わせの原理である、仕え合い支え合う状態は、<人>という文字にも見い出せます。
時代とともに言葉の使われ方も変わっていくとは思いますが、仕合わせの本質を忘れないでいたいものです。

また、<仕事>という文字からも、これに関連しての本質を教えられます。

正に、<仕える事>、と書いてこれを仕事と読ませています。
もちろん作業レベルも仕事の内ですが、仕事すべてを指し示すものではありません。

自分にとってのお客様に対して、良い商品や良いサービスの提供は当然ですが、モノとしての部分のそれら以外に、十分に行き届いた心の満足をひっくるめて相手にお届けする事で、初めて<仕える事>が成就し、<仕事>そのものが完遂されたと言えるのでしょう。

これら二つのことから、物も心も豊かになるためには、共に仕え合えあうことに「仕合わせ」を見つけて、感謝をもって「仕える事の素晴らしさ」を認識することではないでしょうか。

このような感覚を持ちながら、毎日の生活を営んで行きたいと思ってます。
 
 
 
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