思いつきで部下を動かす中間管理職

思いつきで部下を動かす中間管理職

以前に育てた弊社の、ある中間管理職の人のお話をしたいと思います。

その人は頭の回転も良くて仕事も出来て、細かなところにも気配りができて、とても優秀な人なのですが、部下にもうひとつ人気がありませんでした。
私はその人のことを買っており、期待もしていたから中間管理職に引き上げたのです。
 
 

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ですから、とても不思議に思っていましたので、機会を見つけてその人の部下一人ひとりに聞き取りをしていきました。(これは、私がよく使う手段です。)
そこで、私も知らないその上司の良い点悪い点をいっぱい聞けました。(もちろん、オフレコです(笑)。)

その中で一番の原因は、「朝令暮改」が多すぎるということでした。朝言ったことを、平気で夕方にはひっくり返すのです。
朝令暮改とは、中国の漢書からの言葉ですが、法令などがすぐに変更されて一定せず、あてにならない様を言います。

こういうことが頻繁にありますと、下の者からしたら「何なの、この人?」って思ってしまいますよね。ひっくり返すに至った思考過程を説明しているならまだいいのですが・・・。

本人も、あまりこのことは自覚していないようなので、余計にタチが悪いかも知れません。
特にシステムの変更は、部の業績に直結することですので、尚更よく考えてから指示を出して欲しいものです。

これではいくらやり手の上司でも、信頼できなければ部下は付いてこないのは当然です。
私は、その上司の何が原因でそうするのかをずっと見て考えてきました。
多少せっかちな性格は知っていましたが、でも<そういった性格だから>では解決になりません。

ようやくその答えを見つけ出せました。

その人は、頭の回転も良く思考能力にも十分に長けています。お客様の評価も申し分ありません。
本当にそのような実力の持ち主が何故?という感じなのですが、ようやく見つけた答えは、これでした。

日常業務で何らかの変化が出てくると、持ち前の頭の良さで、その対応策が「アイデア」や「ひらめき」として、すぐに口を突いて出て来ます。そして、それを実行するための指示も、思いつきで出していたのです。これが原因でした。

つまりは、折角の対応策のアイデアも「実行するための組み立て力が弱い」ため、結局すぐに行き詰まり、また変更を余儀なくされてしまうのです。
 

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計画を実行するシステムも入った計画を立てる

みなさんはPDCAという言葉をご存じだと思いますが、いわゆる計画(PLAN)、実行(DO)、チェック(CHECK)、改善(ACTION)ですね。業務を遂行するにはこれらが必要だとされていますが、その中間管理職の人の問題点はそのプランの段階にあったのです。

皆さんは、仕事を推進する時に当然計画を立てますよね。
でも部下に指示を出すときには、単純にプランを示すだけではダメなのです。
これは是非覚えておいて欲しいことなのですが、そのプランを実行するための仕組みも作ってやる必要があります。
その実行する仕組みも含めて、「プラン」なのです。そのプランに基づいて実行して行くのです。

あなたもこんな経験があるのではないですか?
「はい、そのプランは分かりました。でも具体的にはどうするの・・・・?」ってね。

その人は、部下にひらめきのアイデア(プラン)だけを提示して、そのアイデアを実行させるために、思いつきで指示を出す。実行するための仕組み作りを組み上げていなかったから、この結果を招いてしまったのです。

「それを考えるのが部下の仕事だ!」なんて言葉が聞こえてきそうですが、果たしてそれをやり切ってくれる部下をお持ちの上司はどれだけおられるでしょうか?
上司が部下にプランを提示する時には、ひらめきのアイディアと併せてそれを遂行するための仕組みも、その計画の中に組み込むべきなのです。

もちろん、プランの立案も、それを実行していく時のシステム作りも、色々な角度を想定して熟考するべきなのですが・・・。

この一連のことが、私たち中小零細企業の上司として、部下にプランを提示する時に必要なことなのだということを改めて教えられました。

その後、その人にこの話をしたところ、「確かに私は色々とアイデアは湧いて来るのですが、それを実行に移す仕組みを作るのがとても苦手なのです。」と吐露してくれました。

でもその人は、はっきりと自分の弱点を自覚して、その部分の重要性を理解し克服して行ってくれる約束をしましたので、きっと素晴らしい上司に成長してくれるだろうと思います。
 
 
また一つ、私自身の社員教育で足りなかったところに気付かされたお話しです。
 
 
 
 
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