部下への管理システムの留意点
中間管理職の皆さんは、部や課のはたらきをスムーズに運営するために、いろいろなシステムを作っておられることと思いますが、そのシステムを作る時の留意点は「システムを崩壊させないために」の中に記述しました。
ここでは、「部下に対して行う管理の考え方」のお話しをいたします。
これは、私が苦手としていたお金について教えて下さった大先輩が、誰にでも湧いてくる「出来心」を未然に防ぐための考えを教えて下さったお話しです。
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当時、借金まみれの私を幾度も助けて下さって、その度にいろいろな角度から、人生や経営についてのお話しをして下さいました。その中のお話しの一つです。
「君は今、ものすごく喉が渇いていて死にそうな状態だったとする。その時この机の上に、たっぷりと水の入ったコップが置いてあったとしよう。さて、君はどうする?」
「死にそうな状態なのですね?」
「そうだ!」
「だったら、悪いとは分かっていても、そのコップを引ったくってでも取って飲むと思います。」
「やっぱりそうだよな。」「だったら、もし机の上に水が無かったら、どうだ?」
「水が無いのだったら、飲みたくても飲めませんものね!? 何が仰りたいのですか?」
「そこだよ!もし金がなくて本当に困っている者がいたとして、ふと見ると分厚い財布が机の上に置いてある。どうなると思う?」
「多分、コソッと盗んでしまうのではないでしょうか?」
「恐らく、そうなるだろうな・・・。君が今の苦境を脱して、見事、事業に成功したその時、その分厚い財布は君のだとしたら・・・?」
ますます話がこんがらがって来ました???
続けてその大先輩は言われました。「人を管理する上司は、犯罪者を作ってはいけないのだよ!」と。
自分の部下を信用していないということではなくて、不用意に大切なものを置いておくことで、出来心から犯罪者を作り出してしまうことがある。
水の入ったコップがなかったら、飲みたくても水は飲めない。お金の入った財布が置いてなかったら、盗りたくても盗れなかったのに。
出来心が起きないような状態にしておく。キチンとそのシステムを作っておく。このことが管理者としては、とても重要なことなのだと言われました。部下を、「信頼する・しない」の以前の、長としてのあるべき心掛けの問題なのだとも仰いました。
その後、私も大切な部下が増えてきました。会社のリスクマネジメントもさることながら、こちらの不注意や大ざっぱな仕組みで「出来心」を起こさせてしまっては取り返しが尽きません。この教えて頂いたことは、実直に守っています。
大切なものは、鍵の掛かるところに直す。大事な分野は、複数の人間で相互チェックをする。ミスはミスとして全てをあからさまにする。
この大先輩の謎かけのようなお話しは、その後の弊社のリスク管理システムを組み立てるときには、いつも慎重に緻密に考えるようにしています。
部下への管理システムを作成する時には、「自分の部下から、犯罪者を出さない。出来心を起こさせない。」
そのためには、間違いのないシステムなのか、どこかに穴は空いていないかを十分に確認をすることが必要です。
何十年も一人の経理担当者にお金を任せっきりにしている。
何年も、実在庫は確認せず、商品の棚卸しは帳面だけ。
売り掛けのお客様への残高確認はしたことがない。
毎日の売り上げ金は集計だけ。
その他にも細々とあるかも知れません。
どの様な時でも、犯罪を犯した者を擁護するつもりは更々ありませんが、このようなズサンな管理状況のもとでは、ふぅと魔が差して出来心から罪を犯してしまうということは、あり得ないとは言えません。
「人を管理する上司は、犯罪者を作ってはいけない!」ということを肝に銘じて、どうぞ、管理システムをもう一度見直して見られたら如何でしょうか。
これも、部下に対しての大きな愛情だと私は思っています。
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